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きっと…俺の中で一番古い記憶だろう。
物心つく前の記憶なのか、潜在意識の中のものなのかもよくわからないが…
見上げると、そこにはぼんやりとした女性の笑顔。
耳が短いから、たぶん人間の女性…髪は青色。
『アラン君はお父さんにそっくりねぇ』
そう言いながら、赤ん坊の俺をあやす。
快晴の空を思わすような、その髪の色に俺はそっと手を伸ばす。
母の髪色ではない…でも何故だろう。凄く落ち着いていた。
それを握ろうとすると、くすくすと笑いながら俺を抱き上げる母の声…
『……様の髪を引っ張ってはだめですの、アラン』
母はその女性の名前を言ったが、なぜか聞き取れなかった。
(母上…その人は誰?)
その女性が誰だったのか…
それを知ったのは、少年の頃だった。
父の書斎で見かけた一枚の肖像画…5人の集合画だ。
父と母、ツインテールの銀色の髪の乙女と黒髪の少年。
そして、俺の記憶の中にあるロングヘアの青髪の女性…
その女性はウィンディ=レインといって、父の冒険者時代のチームリーダーで盟友だったそうだ。
「最初で最後の、人間女性の盟友だな…」
父は絵を見上げる幼い俺によく、そう話してくれた。
父の最初で最後の女性の盟友…しかも人間の…
俺はいつからかこの女性に憧れを持つようになっていた。
きっといつかまた会えるかもしれないな。と父は微笑んでそっと頭を撫でてくれた。
それから時は流れ、俺はその女性と時を超えた対面をすることとなる。
時を超えた対面…それは、『彼女の血』を受け継いだ青年との対面だった・・・
アクエリオに出発する数日前。
俺はサフィアさんと彼女の義理の息子であるレグルスを連れ、実家に戻っていた。
「さすが貴族の屋敷だな…」
父の自室に向かう廊下の途中、レグルスがそっと呟く。
サフィアさんは、嘗ての父の仲間であり義兄妹の約束をしたツインテールの銀色の髪の乙女…集合肖像画の一人だ。
そして俺の後を歩くこの金髪の青年が、彼女の親友であり父の盟友であったウィンディ女史の実子、レグルス=レイン。
それを知ったのは、二人が父と対面したつい先程の事。
サフィアさんがなぜ彼を連れてきたのか、そのときにようやく分かった。
『僕の名はレグルス=レイン。ウィンディ=レインは僕の実母です。』
父を見て深く一礼したその姿は、いつものおどけた彼ではなく誇り高い剣士そのものだった…。
実子がここにいるということは、この世に彼女はすでに居ない…と悟った父は、彼に過去の話をするために自室に招いたのだ。
「君がウィンディ殿の子息だったとはな。雰囲気が皆と違う理由がわかったよ。すまなかったな」
俺の言葉に彼は、父親似だから仕方がない。と微笑んだ。
「俺が実母から受け継いだのは瞳の色と魔法を操る力、そしてエンドブレイカーに覚醒できる力だけだから」
「それだけではないぞ?お前は『母の仲間』も受け継いだんだ」
彼は俺をじっと見た。
「そう…思ってもいいのかい?」
「あぁ…たぶんな。父が家族以外のものを自室に呼ぶようなことは決してしないから」
そして部屋の前に到着し、入るのに肯定の返事が返ってから俺達は部屋へと足を踏み入れたのだった。
俺達がソファに座るのを確認すると、父は思い出の箱をゆっくりと開ける様に話し始めた。
時には懐かしみ、時には少し熱く…そのときの感情が俺達にも、ひしひしと伝わる。
ウィンディという人は、美しさも力も内面の強さも、全てバランスが取れていた人物で、仲間を大切に思い信じることが出来る人物だったようだ。
レグルスは、真剣にその話に聞き入っている。
少しでも実母のことを理解しようとしているのだろう…
話が終わると、彼は父に礼を言って頭を下げた。
「蒼の母上にはサフィ母さん以外に心を許せる仲間がいたんですね。僕の記憶の母上は、どこか寂しそうだったから…」
そんな彼に父は、仲間とはそういうものだ。と告げる。
(自分を信じてくれている者には全力で答える…か)
俺はそっとレグルスを見る。いつも笑顔で少しおどけて、しかしどこか大人びているこの青年を少しでも支えていけたら…
そんな思いがふと心をよぎり、そっと微笑する。
(なるほどな、こういう出会いもあり絆もあるんだな)
父が彼の実母に興味を持ったのも、同じ理由だったのでは…と、そう思えてくる俺がいた。
「さて、アラン。私がウィンと交わした誓いだが…」
一通りの話が終わりレグルスが部屋を出た後、父は俺に声をかけた。
新興貴族とはいえ小さな村を預かっている以上、彼はこの地を離れるわけにはいかない。
そこでエンドブレイカーとなった俺と妹のリアノンが、父が盟友と交わした『誓い』を受け継ぐ事になった。
「『世代が変わっても変わらぬ友情と支援をする』…ということですか?」
俺がそういうと、流石だな。と、微笑んだ。
「しかし不思議だ、あれだけ人を引き付けるものを母子で持っているとは…」
「きっと『レイン』という家系の血筋なのでしょう。父上や母上が彼の実母にこだわって来た理由が少しだけ、分かった様な気がします」
俺の返事に、父はそっと肩に手を置いた。
「さぁ、そろそろ準備を始めるといい。母にも顔を見せるようにな」
頷いて部屋を出ようとしたとき、もう一度呼び止められる。
「言い忘れていたが…イグナート卿の令嬢も一緒に出かけることになる。彼女もエンドブレイカーになったそうだ」
「ティアも…ですか」
「いずれお前と共に生きる身だ。苦難を共に乗り越えていくことも必要であろう?騎士としての腕も上げているようだ。心配はない」
「わかりました…では父上、体をお大事に」
俺が深く一礼すると、頭上から「武運を…無事に帰郷することを願っているぞ」と優しい言葉が聞こえた。
そして今、この水の都市の旅団本部となった別荘屋敷のバルコニーにいる。
隣には獅子星の名を持ち風王の心を持った小さき王が、不安そうに夜空を眺めていた。
「父が言っただろう?お前は一人じゃないと。俺達旅団の仲間やサフィさんがいる。大丈夫だ」
「あぁ、そうだよな。みんながいる…みんなで前に進もうぜ、これからもな」
俺達の『人生』という旅は始まったばかりだ。
恐れずに強い心で行こう。
そして少しでも笑顔と幸せを全ての人に分けていこう。
それが俺達エンドブレイカーの使命であり、俺の誓いだから……
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